第64回例会『神の代理人』

数百万ユダヤ人の血
流れるにまかせた神の代理人へ
痛烈な抗議


福島演劇鑑賞会 第64回例会
劇団民藝
(1971)

作:ロルク・ホーホフート
訳:森川俊夫
台本・演出:渡辺浩子
演出助手:福沢富夫
装置:安部真知


例会概要

公演日

1971年5月11日(火) 18:00~

会場

福島市公会堂


あらすじ

 ナチス親衛隊の将校ゲルシュタイン。かれは、この大虐殺の犠牲を少しでも止めようと、みずからの過去を隠してあえて親衛隊に入った人間ですが、国際法的には中立国の元首で、しかも四億の信徒の最頂点におり、ヒトラーも一日おかざるを得ないローマ法王が、この人道に反するユダヤ人の虐殺問題をとりあげて、全世界の前で公然とヒトラーを非難するならば、と大使に訴えます。

ヒトラー・ドイツとの政治的紛争を起すなという命令のもとに大使はそれを取りつぐ任務を与えられていないと拒否します。法五庁の財政顧問、フォンタナ伯爵の息子リカルドは栄達のコースを歩む青年神父としてペルリンに派遣されて来たのですが、すでに耳にしていたユダャ人の虐殺が、このゲルシュタインの訴えで裏書きされ、深く考えざるを得ないのでした。そしてまず、ゲルシュタインを探しあて、かれが逃亡させようとするユダヤ人セコブソンに自分の旅券を与えるのでした。さらにリカルドは、命令もないのにローマに帰り、父に訴えさらにまた法王庁の大臣格の枢機卿にも訴えるのです。しかし政治家の枢機卿は、ヒトラーが同時に反共でもあることを考え、早期のヒトラー滅亡を単純に望んでさえいないのです。しかしそういう中でも状況は進展し、法王庁のおひざもとローマ市街でさえ、ゲシュタポのユダヤ人狩りは始まったのでした。

一刻も早く非難声明を出してほしい!純真なリカルドの訴えは、むろん「神の代理人」法王の受けいれるところではありませんでした。「公正な調停者としての役割」を果すべき「法王」がヒトラーを非難すれば、ドイツ人はヒトラーと一体となって告発されたと感ずるだろう、というわけです。そして法王が満足をもって出した告論はただの抽象的な美辞麗句にすぎません。

ついにリカルドは、ユダヤ人とともにひそかに収容所に行くのでした。法王庁とことをかまえたくないドイツの軍人は、早速リカルドをおくり返そうとするのです。しかし、ここに悪魔のような「ドクター」がいてリカルドをここで働かせることにするのでした。

 しかし、この「ドクター」の決定とは逆にあのゲルシュタインが「神父」リカルドを引き取りにきました。ただそこにはかってリカルド神父の旅券で逃亡したはずのセコプソンもつかまっていました。この三人の再会の中で、リカルドに生きのびよというゲルシュタイン、セコブソンをつれていけというリカルド。しかし結局のところセコブソンをつれ去ろうとするゲルシュタインは、「ドクター」に見つかり、セコブソンもリカルドも殺されるのでした。


出演

清水将夫……法王ピウス十二世

伊藤孝雄……リカルド・フォンタナ神父

垂水悟郎……クルト・ゲルシュタイン

滝沢修………ドタター

大滝秀治……枢機卿

波多野憲……ベルリン駐在法王大使

水谷貞雄……フォンタナ伯爵

下条正己……修道会総会長

草罹幸二郎…セコブソン

三浦威………フリッチェ親衛隊少佐

金井進二……アウシュヴイッツの当直将校

里居正美……ザルツァー警察隊長

その他多数出演


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